今のコーチング市場は「背伸びの市場」と言っても過言ではない。
そもそもコーチングという手法も定義も認知度も未完成である以上、コーチを生業とするには背伸びせざるを得ない現状は当然である。
それを踏まえて、コーチの虚像と実態の剥離を考察したい。
・実績の背伸び
コーチングの実績は曖昧なものである。
なぜなら「コーチングの成果は分かりづらい」からだ。
〇〇人にコーチングした。
〇〇桁稼いだ。
これらは果たしてどこまでが事実なのだろうか。
例えば、友人からちょっとした相談をされたこともコーチングしたと言えなくもない。
〇〇桁稼いだと言われても、確定申告書や決算書で確認しなければ稼いだ額など分からない。
コーチングは、実績をコントロールしやすい仕事なのだ。
・資格の背伸び
コーチングに国家資格は存在せず、すべて民間資格である。
どこかの誰かが作った「コーチングのノウハウ」に受講料を払って教えてもらう。
お金を払って講座を受講すれば、ほとんどの人は認定資格を獲得できる。
つまり、お金と時間をかければコーチングの資格を取るのは難しくない。
その認定資格は「コーチングを勉強しました」という証明に過ぎず、コーチングの実力を定義したものではない。
・挫折の背伸び
コーチのプロフィールは「挫折の肩書」で溢れている。
挫折や失敗を乗り越えた経験を書くのは定石である。
〇〇に失敗した。
〇〇を経験した。
〇〇を乗り越えた。
更に、それらをコーチングによって救われる。
そんな、過去の経歴や挫折経験を乗り越えたことは「今悩んでいる人」の心に響く。
大した失敗でなくとも、大きな失敗を乗り越えたようにプロモーションすれば共感者をクライアントにしやすい。
これらは決して「悪」ではない。
ただし、エビデンスを用意できない以上は騙される可能性もあるということだ。
コーチの背伸びを前提とした売り方は、一歩間違えると詐欺になりかねない。
本物のコーチングとは何か。
本物のコーチとはどんな人か。
それを理解した上で、どんなコーチからコーチングを受けたいのか。
それを理解しなければ、背伸びばかりのコーチングビジネスに足元を見られるだろう。
コーチングで大事なのは、実際にコーチングを受けた上での相性である。
実績、資格、過去の経験など、エビデンスが曖昧なものに惑わされてはいけない。